ひきぞめ


04360
ひきぞめはショパンと決めてマズルカのスタッカートを口吟さみ見つ
ヒキゾメハ ショパントキメテ マズルカノ スタッカートヲ クチズサミミツ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.88
【初出】 『短歌新聞』 1989.1 ひきぞめ (1)


04361
天井を仰ぐことなき地下の街チワワ一匹曳かれて行きぬ
テンジョウヲ アオグコトナキ チカノマチ チワワイッピキ ヒカレテユキヌ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.88
【初出】 『短歌新聞』 1989.1 ひきぞめ (2)


04362
欄干のつめたかりしを思ひ出づ鉄の匂ひが手に残りゐて
ランカンノ ツメタカリシヲ オモヒイヅ テツノニオヒガ テニノコリヰテ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.89
【初出】 『短歌新聞』 1989.1 ひきぞめ (3)


04363
子をなさば付けむと思ふ名のありき幾つもありき少女のわれに
コヲナサバ ツケムトオモフ ナノアリキ イクツモアリキ オトメノワレニ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.89
【初出】 『短歌新聞』 1989.1 ひきぞめ (4)


04364
駒を駆りいづち行きけむ幼くてウンスン歌留多に見にし武将ら
コマヲカリ イヅチユキケム オサナクテ ウンスンカルタニ ミニシブショウラ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.89
【初出】 『短歌新聞』 1989.1 ひきぞめ (5)