鈴の音


04365
石ばかり出すをみな子のじやんけんのこぶし小さくふくらみてをり
グーバカリ ダスヲミナゴノ ジヤンケンノ コブシチイサク フクラミテヲリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.90
【初出】 『埼玉新聞』 1989.1 鈴の音 (1)


04366
ぽつくりの鈴にはぢらひ歩みたる童女を今は知る人もなし
ポツクリノ スズニハヂラヒ アユミタル ドゥジョヲイマハ シルヒトモナシ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.90
【初出】 『埼玉新聞』 1989.1 鈴の音 (2)


04367
はればれと太鼓鳴らしてブレーメンの音楽隊はいづち行きけむ
ハレバレト タイコナラシテ ブレーメンノ オンガクタイハ イヅチユキケム

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.91
【初出】 『埼玉新聞』 1989.1 鈴の音 (3)


04368
いづこにも富士はありともふるさとに裾野ひろぐる南部片富士
イヅコニモ フジハアリトモ フルサトニ スソノヒログル ナンブカタフジ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.91
【初出】 『埼玉新聞』 1989.1 鈴の音 (4)


04369
それとなく雪にうもれて春を待つ木の実を思ひをれば眠りぬ
ソレトナク ユキニウモレテ ハルヲマツ コノミヲオモヒ ヲレバネムリヌ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.91
【初出】 『埼玉新聞』 1989.1 鈴の音 (5)