山々青き


04451
高天原も卑弥呼の国もありつらむ取り巻く山のいづこも青き
タカマガハラモ ヒミコノクニモ アリツラム トリマクヤマノ イヅコモアオキ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.122
【初出】 『短歌四季』 1989.12 山々青き (1)


04452
百姓はやめられじとぞ眠りゐし土も起こされて香を放つとぞ
ヒャクショウハ ヤメラレジトゾ ネムリヰシ ツチモオコサレテ カヲハナツトゾ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.122
【初出】 『短歌四季』 1989.12 山々青き (2)


04453
しろたへの沙羅の木の花はなびらの合はせ目あたり暮れそめてをり
シロタヘノ サラノキノハナ ハナビラノ アハセメアタリ クレソメテヲリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.123
【初出】 『短歌四季』 1989.12 山々青き (3)


04454
幼子は母へ駆けゆきげんまんをしたることなど忘れてあらむ
オサナゴハ ハハヘカケユキ ゲンマンヲ シタルコトナド ワスレテアラム

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.123
【初出】 『短歌四季』 1989.12 山々青き (4)


04455
いつよりか名簿に消えてゐる名前古風なその名を恥ぢていましき
イツヨリカ メイボニキエテ ヰルナマエ コフウナソノナヲ ハヂテイマシキ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.123
【初出】 『短歌四季』 1989.12 山々青き (5)


04456
匂ひ袋はかそかに匂ひつきつめて五欲の何を残せるわれか
ニオヒブクロハ カソカニニオヒ ツキツメテ ゴヨクノナニヲ ノコセルワレカ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.124
【初出】 『短歌四季』 1989.12 山々青き (6)