目次
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全短歌(歌集等)
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風の曼陀羅
夜桜を見む
葉桜の
暖色の
桃いろの
沐浴を
近道を
来む春も
フィナーレに
04457
葉桜の吉野の山を訪ひしとぞ甘味の葛を送りたまひぬ
ハザクラノ ヨシノノヤマヲ トヒシトゾ カンミノクズヲ オクリタマヒヌ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.125
【初出】
『短歌公論』 1989.11 夜桜を見む (1)
04458
暖色の傘を選びて差し来しが無言の犬に見られて通る
ダンショクノ カサヲエラビテ サシコシガ ムゴンノイヌニ ミラレテトオル
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.125
【初出】
『短歌公論』 1989.11 夜桜を見む (2)
04459
桃いろのヘアピンレースさながらに路上に合歓の花は濡れゐつ
モモイロノ ヘアピンレース サナガラニ ロジョウニネムノ ハナハヌレヰツ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.126
【初出】
『短歌公論』 1989.11 夜桜を見む (3)
04460
沐浴をすませて匂ふ女童が隣にゐたる日のある如し
モクヨクヲ スマセテニオフ メワラハガ トナリニヰタル ヒノアルゴトシ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.126
【初出】
『短歌公論』 1989.11 夜桜を見む (4)
04461
近道を教へて電話切りにしが迷ひてゐずや竹の落ち葉に
チカミチヲ オシヘテデンワ キリニシガ マヨヒテヰズヤ タケノオチバニ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.126
【初出】
『短歌公論』 1989.11 夜桜を見む (5)
04462
来む春も必ず生きて夜桜を見むと人にも今日は言ひたり
コムハルモ カナラズイキテ ヨザクラヲ ミムトヒトニモ キョウハイヒタリ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.127
【初出】
『短歌公論』 1989.11 夜桜を見む (6)
04463
フィナーレに近づかむとし早まりて一個あがれる風船赤し
フィナーレニ チカヅカムトシ ハヤマリテ イッコアガレル フウセンアカシ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.127
【初出】
『短歌公論』 1989.11 夜桜を見む (7)