わが星


04499
無人駅を出でて来つれば道のべはうすき緑に杉菜萌えたり
ムジンエキヲ イデテキツレバ ミチノベハ ウスキミドリニ スギナモエタリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.145
【初出】 『短歌研究』 1990.3 わが星 (1)


04500
み仏は印を結びていましたりはじめからここにいますが如く
ミホトケハ インヲムスビテ イマシタリ ハジメカラココニ イマスガゴトク

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.145
【初出】 『短歌研究』 1990.3 わが星 (2)


04501
黒土のひとすぢ見えて大寺は庫裡より畑へかよふ道あり
クロツチノ ヒトスヂミエテ オホデラハ クリヨリハタヘ カヨフミチアリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.146
【初出】 『短歌研究』 1990.3 わが星 (3)


04502
駅を出でて仰ぐビル群一枚のガラス烈しく西日を反す
エキヲイデテ アオグビルグン イチマイノ ガラスハゲシク ニシビヲカエス

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.146
【初出】 『短歌研究』 1990.3 わが星 (4)


04503
持ち長き花ゆゑ蘭にせよといふ売り買ひのさま見て待ちゐたり
モチナガキ ハナユヱランニ セヨトイフ ウリカヒノサマ ミテマチヰタリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.146
【初出】 『短歌研究』 1990.3 わが星 (5)


04504
花の香と言はむよりただ青臭し水仙の大き束活けをれば
ハナノカト イハムヨリタダ アオクサシ スイセンノオオキ タバイケヲレバ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.147
【初出】 『短歌研究』 1990.3 わが星 (6)


04505
わが星を四緑木星と知りてよりめぐりに星のひしめく如し
ワガホシヲ シロクモクセイト シリテヨリ メグリニホシノ ヒシメクゴトシ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.147
【初出】 『短歌研究』 1990.3 わが星 (7)