手旗ならずや


04509
そのかみのジパングといへる国思ふ渚に残る黄なる夕映え
ソノカミノ ジパングトイヘル クニオモフ ナギサニノコル キナルユウバエ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.150
【初出】 『短歌現代』 1990.11 手旗ならずや (1)


04510
古への武具の名持てるうつぼぐさ誰が侍女としてわれは果てけむ
イニシヘノ ブグノナモテル ウツボグサ タガジジョトシテ ワレハハテケム

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.150
【初出】 『短歌現代』 1990.11 手旗ならずや (2)


04511
両腕をまはすひとりの体操を遠く見をれば手旗ならずや
リョウウデヲ マハスヒトリノ タイソウヲ トオクミヲレバ テバタナラズヤ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.151
【初出】 『短歌現代』 1990.11 手旗ならずや (3)


04512
二羽の蝶まつはり飛ぶを追ふとなく車に引きて花売りは来し
ニワノチョウ マツハリトブヲ オフトナク クルマニヒキテ ハナウリハコシ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.151
【初出】 『短歌現代』 1990.11 手旗ならずや (4)


04513
送り火の灯籠はいつかちりぢりに漁り火の咲く沖へ去りたり
オクリビノ トウロウハイツカ チリヂリニ イサリビノサク オキヘサリタリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.151
【初出】 『短歌現代』 1990.11 手旗ならずや (5)


04514
待ちかねて寝てしまふこともなかりしと思ひ出でつつただ懐かしき
マチカネテ ネテシマフコトモ ナカリシト オモヒイデツツ タダナツカシキ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.152
【初出】 『短歌現代』 1990.11 手旗ならずや (6)


04515
人の性また花の性四、五輪づつあひよりて咲くのうぜんかづら
ヒトノサガ マタハナノサガ シゴリンヅツ アヒヨリテサク ノウゼンカヅラ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.152
【初出】 『短歌現代』 1990.11 手旗ならずや (7)