土耳古石


04516
東京湾はどの方角か朝明けにヘリコプターの飛ぶを見をれば
トウキョウワンハ ドノホウガクカ アサアケニ ヘリコプターノ トブヲミヲレバ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.153
【初出】 『毎日新聞』 1990.11 土耳古石 (1)


04517
三角に両耳立てて白の猫われの背後の何をうかがふ
サンカクニ リョウミミタテテ シロノネコ ワレノハイゴノ ナニヲウカガフ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.153
【初出】 『毎日新聞』 1990.11 土耳古石 (2)


04518
乱菊と謂へるやさしさに白と黄と樺いろとまじり垣を埋めゐる
ランギクト イヘルヤサシサニ シロトキト カバイロトマジリ カキヲウメヰル

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.154
【初出】 『毎日新聞』 1990.11 土耳古石 (3)


04519
何の事故ありし路上かこなごなのガラスは涼しき音に掃かるる
ナンノジコ アリシロジョウカ コナゴナノ ガラスハスズシキ オトニハカルル

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.154
【初出】 『毎日新聞』 1990.11 土耳古石 (4)


04520
秋の服に合はせて買ひしトルコ石のマグネットピアス持てるたのしさ
アキノフクニ アハセテカヒシ トルコイシノ マグネットピアス モテルタノシサ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.154
【初出】 『毎日新聞』 1990.11 土耳古石 (5)