笹鳴らす雨


04521
まぶしさに馴れて見をれば雲はみな目ざす溜まり場ある如く飛ぶ
マブシサニ ナレテミヲレバ クモハミナ メザスタマリバ アルゴトクトブ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.155
【初出】 『短歌研究』 1991.1 笹鳴らす雨 (1)


04522
配色のよき傘をせめて差し行かむ笹を鳴らすほどの降りとなりたり
ハイショクノ ヨキカサヲセメテ サシユカム ササヲナラスホドノ フリトナリタリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.155
【初出】 『短歌研究』 1991.1 笹鳴らす雨 (2)


04523
手に入らばわれは何せむ唯一度用ひよといふ天狗の団扇
テニイラバ ワレハナニセム タダイチド モチヒヨトイフ テングノウチハ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.156
【初出】 『短歌研究』 1991.1 笹鳴らす雨 (3)


04524
山牛蒡とわが知れる名も危ふきに裏白の大き葉をひるがへす
ヤマゴボウト ワガシレルナモ アヤフキニ ウラジロノオオキ ハヲヒルガヘス

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.156
【初出】 『短歌研究』 1991.1 笹鳴らす雨 (4)


04525
赤べこの首を揺らして見たりして目ざせる本のありしたのしさ
アカベコノ クビヲユラシテ ミタリシテ メザセルホンノ アリシタノシサ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.156
【初出】 『短歌研究』 1991.1 笹鳴らす雨 (5)