大波小波


04640
目の前を通るものみな尾を持ちて音もたてずにすぎてゆきたり
メノマエヲ トオルモノミナ オヲモチテ オトモタテズニ スギテユキタリ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.9
【初出】 『短歌現代』 1991.8 大波小波 (1)


04641
縄とびの大波小波いつのまに縄のみとなりてまはりつづけぬ
ナワトビノ オオナミコナミ イツノマニ ナワノミトナリテ マハリツヅケヌ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.10
【初出】 『短歌現代』 1991.8 大波小波 (2)


04642
幾万の羊にまじれる一頭の黒を目安に移りか行かむ
イクマンノ ヒツジニマジレル イツトウノ クロヲメヤスニ ウツリカユカム

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.10
【初出】 『短歌現代』 1991.8 大波小波 (3)


04643
玉葱をころがす夢を見てゐたりすこやかな日の朝のごとくに
タマネギヲ コロガスユメヲ ミテヰタリ スコヤカナヒノ アサノゴトクニ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.11
【初出】 『短歌現代』 1991.8 大波小波 (4)


04644
まれまれにのぼりし二階誰か来て乱しし如く本がちらばる
マレマレニ ノボリシニカイ タレカキテ ミダシシゴトク ホンガチラバル

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.11
【初出】 『短歌現代』 1991.8 大波小波 (5)


04645
ためらひて言ひたる如く周到に用意されゐし言葉なりけり
タメラヒテ イヒタルゴトク シュウトウニ ヨウイサレヰシ コトバナリケリ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.12
【初出】 『短歌現代』 1991.8 大波小波 (6)


04646
渺々と風吹き荒るる日なりしが理由といふはいくらでも立つ
ビョウビョウト カゼフキアルル ヒナリシガ リユウトイフハ イクラデモタツ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.12
【初出】 『短歌現代』 1991.8 大波小波 (7)