牧歌


04647
牧草も雨に育つと告げくれば牛の匂ひのふと立つ如し
ボクソウモ アメニソダツト ツゲクレバ ウシノニオヒノ フトタツゴトシ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.13
【初出】 『短歌』 1991.10 牧歌 (1)


04648
クローバーの丘に少女は連れゆきて犬にも首輪を編みやりしとぞ
クローバーノ オカニショウジョハ ツレユキテ イヌニモクビワヲ アミヤリシトゾ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.14
【初出】 『短歌』 1991.10 牧歌 (2)


04649
うしろより花の香のする風が来て返り咲きせる黄の薔薇に逢ふ
ウシロヨリ ハナノカノスル カゼガキテ カエリザキセル キノバラニアフ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.14
【初出】 『短歌』 1991.10 牧歌 (3)


04650
軍用馬にとられむ憂ひも今は無く姿やさしきジョッキーが乗る
グンヨウバニ トラレムウレヒモ イマハナク スガタヤサシキ ジョッキーガノル

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.15
【初出】 『短歌』 1991.10 牧歌 (4)


04651
デパートの窓のカクテル光線にいたく華やぐ硝子の鹿は
デパートノ マドノカクテル コウセンニ イタクハナヤグ ガラスノシカハ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.15
【初出】 『短歌』 1991.10 牧歌 (5)


04652
帆柱が音なくあまた立ちゐたり葉山マリーナ月の夜更けに
ホバシラガ オトナクアマタ タチヰタリ ハヤママリーナ ツキノヨフケニ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.16
【初出】 『短歌』 1991.10 牧歌 (6)


04653
梅雨寒のひと日ふた日と続きゐて行かねばならぬ法会近づく
ツユザムノ ヒトヒフタヒト ツヅキヰテ ユカネバナラヌ ホウエチカヅク

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.16
【初出】 『短歌』 1991.10 牧歌 (7)