近在の鳩


04684
闇深き木の間に透きてきざはしに炎をはじく除夜の篝火
ヤミフカキ コノマニスキテ キザハシニ ホノオヲハジク ジョヤノカガリビ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.34
【初出】 『埼玉新聞』 1992.1 近在の鳩 (1)


04685
朝々に格言を読みて如何にせむ雪の舞ふ絵の暦を吊りぬ
アサアサニ カクゲンヲヨミテ イカニセム ユキノマフエノ コヨミヲツリヌ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.35
【初出】 『埼玉新聞』 1992.1 近在の鳩 (2)


04686
ふるさとは雪の山なみ放射能もオゾン層も未だ知らざりしころ
フルサトハ ユキノヤマナミ ホウシャノウモ オゾンソウモイマダ シラザリシコロ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.35
【初出】 『埼玉新聞』 1992.1 近在の鳩 (3)


04687
迷ひつつ生きし荒れ野のいづこにも一縷の水はありし思ひす
マヨヒツツ イキシアレノノ イヅコニモ イチルノミズハ アリシオモヒス

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.36
【初出】 『埼玉新聞』 1992.1 近在の鳩 (4)


04688
近在の鳩が残らず集まりて遊べる如し橋のたもとは
キンザイノ ハトガノコラズ アツマリテ アソベルゴトシ ハシノタモトハ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.36
【初出】 『埼玉新聞』 1992.1 近在の鳩 (5)