楕円の花火


04710
還りくるパーセンテージ聞きをればいよよ華やぐ鮭の稚魚らは
カエリクル パーセンテージ キキヲレバ イヨヨハナヤグ サケノチギョラハ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.49
【初出】 『文藝春秋』 1992.5 楕円の花火 (1)


04711
六階の窓に見おろす水のうへ色をうすめて春の雨降る
ロッカイノ マドニミオロス ミズノウヘ イロヲウスメテ ハルノアメフル

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.50
【初出】 『文藝春秋』 1992.5 楕円の花火 (2)


04712
外つ国の人の肩幅まぎれなく托鉢の僧にまじりて行けり
トツクニノ ヒトノカタハバ マギレナク タクハツノソウニ マジリテユケリ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.50
【初出】 『文藝春秋』 1992.5 楕円の花火 (3)


04713
いづこにも出でて行かねば意識する日も無くてわれは黄色人種
イヅコニモ イデテユカネバ イシキスル ヒモナクテワレハ オウショクジンシュ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.51
【初出】 『文藝春秋』 1992.5 楕円の花火 (4)


04714
信号に停車しをれば正面に楕円にひらく遠花火見ゆ
シンゴウニ テイシャシヲレバ ショウメンニ ダエンニヒラク トオハナビミユ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.51
【初出】 『文藝春秋』 1992.5 楕円の花火 (5)


04715
闇の夜のカーブミラーを一瞬によぎりゆきたり白の毛のもの
ヤミノヨノ カーブミラーヲ イッシュンニ ヨギリユキタリ シロノケノモノ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.52
【初出】 『文藝春秋』 1992.5 楕円の花火 (6)


04716
欲しきものそろひてしまふ店ならむ白く光れる砂も売りゐて
ホシキモノ ソロヒテシマフ ミセナラム シロクヒカレル スナモウリヰテ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.52
【初出】 『文藝春秋』 1992.5 楕円の花火 (7)


04717
水たまりをよけつつ歩み来し道に供へられたる白菊に会ふ
ミズタマリヲ ヨケツツアユミ コシミチニ ソナヘラレタル シラギクニアフ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.53
【初出】 『文藝春秋』 1992.5 楕円の花火 (8)