ものの名


04818
忍冬か定家かづらか宵闇の顔の高さに花の香は来る
ニンドウカ テイカカヅラカ ヨイヤミノ カオノタカサニ ハナノカハクル

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.112
【初出】 『短歌四季』 1993.9 ものの名 (1)


04819
雪花菜と書き卯の花と呼び物の名の優しき日なり厨にありて
キラズトカキ ウノハナトヨビ モノノナノ ヤサシキヒナリ クリヤニアリテ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.113
【初出】 『短歌四季』 1993.9 ものの名 (2)


04820
ほどほどの長さに切れて藤の花十坪ばかりの棚を満たせり
ホドホドノ ナガサニキレテ フジノハナ トツボバカリノ タナヲミタセリ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.113
【初出】 『短歌四季』 1993.9 ものの名 (3)


04821
夕食を軽くすまして別れむかただの人と知りて長くつきあふ
ユウショクヲ カルクスマシテ ワカレムカ タダノヒトトシリテ ナガクツキアフ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.114
【初出】 『短歌四季』 1993.9 ものの名 (4)


04822
葬送の花は台よりはづされてワゴン車深く押し込まれたり
ソウソウノ ハナハダイヨリ ハヅサレテ ワゴンシャフカク オシコマレタリ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.114
【初出】 『短歌四季』 1993.9 ものの名 (5)


04823
朝々に活け直しをれば菜の花とわれといつしかいのちを競ふ
アサアサニ イケナオシヲレバ ナノハナト ワレトイツシカ イノチヲキソフ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.115
【初出】 『短歌四季』 1993.9 ものの名 (6)