無題


05178
こもごもに語り疲れて夜の更けぬひとりのわれとなりて眠らむ
コモゴモニ カタリツカレテ ヨノフケヌ ヒトリノワレト ナリテネムラム

『形成』(形成発行所 1955.10) 第3巻10号(通巻30号) p.54


05179
たれよりも饒舌なりしわれと思ふ夜の更けてより響く潮の音
タレヨリモ ジョウゼツナリシ ワレトオモフ ヨノフケテヨリ ヒビクシオノネ

『形成』(形成発行所 1955.10) 第3巻10号(通巻30号) p.54


05180
夕かげに光りてゐたる貝殻も夜の満ち潮にひたされてゐむ
ユウカゲニ ヒカリテヰタル カイガラモ ヨノミチシオニ ヒタサレテヰム

『形成』(形成発行所 1955.10) 第3巻10号(通巻30号) p.54


05181
去なばまたいつ来む海ぞ朝もやの霽れゆくを永くかかりて見ゐつ
イナバマタ イツコムウミゾ アサモヤノ ハレユクヲナガク カカリテミヰツ

『形成』(形成発行所 1955.10) 第3巻10号(通巻30号) p.54