05182
明日は来む友ら思ひつつ眠る前匂ふカルキにふきんを晒す
アスハコム　トモラオモヒツツ　ネムルマエ　ニオフカルキニ　フキンヲサラス

05183
寂しさをうつされて帰る君と思ひ遠ざかりゆく足音を聴く
サビシサヲ　ウツサレテカエル　キミトオモヒ　トオザカリユク　アシオトヲキク

05184
スカートの余りぎれもて今宵縫ふ友の幼な子の小さきボレロ
スカートノ　アマリギレモテ　コヨイヌフ　トモノオサナゴノ　チイサキボレロ

05185
窓際の焜炉にひねもす湯はたぎる異動期過ぎて静かになれる事務室
マドギワノ　コンロニヒネモス　ユハタギル　イドウキスギテシズカニ　ナレルジムシツ

05186
慢心してゐしかと寂し刷り上れるパンフレットの誤植数へゆきつつ
マンシンシテ　ヰシカトサビシ　スリアガレル　パンフレットノゴショク　カゾヘユキツツ

05187
出張の疲れ持ち越して寂しきに朝よりとげとげとゐる友を見つ
シュッチョウノ　ツカレモチコシテ　サビシキニ　アサヨリトゲトゲト　ヰルトモヲミツ

05188
委ねられし編輯に打ちこみて迷ひなきわれとのみ友は羨めるらし
ユダネラレシ　ヘンシュウニウチコミテ　マヨヒナキ　ワレトノミトモハ　ウラヤメルラシ

05189
職制の革まる日まで女同士助け合ふ外なしと言へば友も肯ふ
ショクセイノ　アラタマルヒマデ　オンナドウシ　タスケアフホカナシトイヘバ　トモモウベナフ