05358
接骨木の芽吹きはしるしみづからをせばめて守る外なき日々に
ニワトコノ　メブキハシルシ　ミヅカラヲ　セバメテマモル　ホカナキヒビニ

05359
姉妹らしき少女が二人手をつなぎ雪踏み固めつつバスを待つ
シマイラシキ　ショウジョガフタリ　テヲツナギ　ユキフミカタメ　ツツバスヲマツ

05360
さまざまに噂されつつしづかなるわれと思ひて夜の濯ぎ終ふ
サマザマニ　ウワササレツツ　シヅカナル　ワレトオモヒテ　ヨノススギオフ

05361
風荒るる斜面に麦の芽吹く見え自転車押して人のぼりゆく
カゼアルル　シャメンニムギノ　メブクミエ　ジテンシャオシテ　ヒトノボリユク

05362
酔はぬ時に会ひたしと言ひて別れ来つたたむ羽織の裏がつめたし
ヨハヌトキニ　アヒタシトイヒテ　ワカレキツ　タタムハオリノ　ウラガツメタシ

05363
転身を信じたる日も遠くしてまとへるものの重くなづさふ
テンシンヲ　シンジタルヒモ　トオクシテ　マトヘルモノノ　オモクナヅサフ

05364
教へ子と思ふ名見ゆる詩の雑誌知らぬ町より送られて来ぬ
オシヘゴト　オモフナミユル　シノザッシ　シラヌマチヨリ　オクラレテキヌ