冬の季語


05441
あらはなる飢餓を見せつつけものらは歩めり雪の来む夕べにて
アラハナル キガヲミセツツ ケモノラハ アユメリユキノ コムユウベニテ

『形成』(形成発行所 1958.3) 第6巻3号(通巻59号) p.56


05442
掘り当てし埴輪値ぶみして人らあり墳ぐるみ既に夕靄のなか
ホリアテシ ハニワネブミシテ ヒトラアリ ツカグルミスデニ ユウモヤノナカ

『形成』(形成発行所 1958.3) 第6巻3号(通巻59号) p.56


05443
たまひたる遺品の壺の白磁沍え花なきときに満ちてしづけし
タマヒタル イヒンノツボノ ハクジサエ ハナナキトキニ ミチテシヅケシ

『形成』(形成発行所 1958.3) 第6巻3号(通巻59号) p.56


05444
コーヒーをいれつつきざすかなしみよ互に会話継ぐこともなく
コーヒーヲ イレツツキザス カナシミヨ カタミニカイワ ツグコトモナク

『形成』(形成発行所 1958.3) 第6巻3号(通巻59号) p.56


05445
凍死者を告ぐる録音山腹の夜の吹雪をうつつに聴かす
トウシシャヲ ツグルロクオン サンプクノ ヨルノフブキヲ ウツツニキカス

『形成』(形成発行所 1958.3) 第6巻3号(通巻59号) p.56


05446
雨降ればあぶるる彼の来る待ちて力仕事をわれら溜めおく
アメフレバ アブルルカレノ クルマチテ チカラシゴトヲ ワレラタメオク

『形成』(形成発行所 1958.3) 第6巻3号(通巻59号) p.56