05466
仔馬らを集めて人の去りゆけり霧ひゐて野は昏れ易からむ
コウマラヲ　アツメテヒトノ　サリユケリ　キラヒヰテノハ　クレヤスカラム

05467
みなそこに無数の蠟の灯るごと麓の街は遠し夜霧に
ミナソコニ　ムスウノロウノ　トモルゴト　フモトノマチハ　トオシヨギリニ

05468
争ふとも相擁くとも見えし影夜汽車にゆられゐて思ひ出づ
アラソフトモ　アイイダクトモ　ミエシカゲ　ヨギシャニユラレ　ヰテオモヒイヅ

05469
持ち歩む帳簿の重さみづからの首尾ととのふる性をうとむや
モチアユム　チョウボノオモサ　ミヅカラノ　シュビトトノフル　サガヲウトムヤ

05470
福分けと言ひつつ干菓子割り呉るる優しき母の挙措と思ひつ
フクワケト　イヒツツヒガシ　ワリクルル　ヤサシキハハノ　キョソトオモヒツ

05471
私有地をくぎれる柵にまつはりて日々に薔薇の咲き揃ひゆく
シユウチヲ　クギレルサクニ　マツハリテ　ヒビニイバラノ　サキソロヒユク