目次
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全短歌(歌集等)
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形成
夏日
ほの白く
雨乞ひの
地の闇を
少年の
いつの間にか
校了に
05472
ほの白く鶏舎に残りてゐし一羽思ひ倦みたるごとくはばたく
ホノシロク トヤニノコリテ ヰシイチワ オモヒウミタル ゴトクハバタク
『形成』(形成発行所 1958.9) 第6巻9号(通巻65号) p.3
05473
雨乞ひの太鼓夜すがら聞えくる村の出来事にうとく住む身に
アマゴヒノ タイコヨスガラ キコエクル ムラノデキゴトニ ウトクスムミニ
『形成』(形成発行所 1958.9) 第6巻9号(通巻65号) p.3
05474
地の闇をまとひて立てる石像のうなじに届くあはき灯かげは
チノヤミヲ マトヒテタテル セキゾウノ ウナジニトドク アハキホカゲハ
『形成』(形成発行所 1958.9) 第6巻9号(通巻65号) p.3
05475
少年の野球選手らバス降りて並木の切れ目より曲りゆく
ショウネンノ ヤキュウセンシュラ バスオリテ ナミキノキレメ ヨリマガリユク
『形成』(形成発行所 1958.9) 第6巻9号(通巻65号) p.3
05476
いつの間にか植字工の変りゐる工場老いし使丁が茶をいれくるる
イツノマニカ ショクジコウノカワリ ヰルコウバ オイシシテイガ チャヲイレクルル
『形成』(形成発行所 1958.9) 第6巻9号(通巻65号) p.3
05477
校了にゆるぶこころか硝子戸の外は昏れゐてわが影うつる
コウリョウニ ユルブココロカ ガラスドノ ソトハクレヰテ ワガカゲウツル
『形成』(形成発行所 1958.9) 第6巻9号(通巻65号) p.3