すぎゆく日々


05522
過たむ予感鎮めて花咲ける満天星の垣を出づる朝々
アヤマタム ヨカンシズメテ ハナサケル ドウダンノカキヲ イヅルアサアサ

『形成』(形成発行所 1959.7) 第7巻7号(通巻75号) p.3


05523
かさなれる影また徐に遠ざけて夕日に早苗植ゑ合ふを見つ
カサナレル カゲマタオモムロニ トオザケテ ユウヒニサナエ ウヱアフヲミツ

『形成』(形成発行所 1959.7) 第7巻7号(通巻75号) p.3


05524
仰ぎ見る思ひも日々に移ろはむ遺作の素描壁にかかげて
アオギミル オモヒモヒビニ ウツロハム イサクノソビョウ カベニカカゲテ

『形成』(形成発行所 1959.7) 第7巻7号(通巻75号) p.3


05525
沢瀉の水漬きつつ咲く日々を経て離籍のことも肯はむとす
オモダカノ ミズキツツサク ヒビヲヘテ リセキノコトモ ウベナハムトス

『形成』(形成発行所 1959.7) 第7巻7号(通巻75号) p.3


05526
縛めを解き合ふごとくありたきを暗みただよひ昨日今日過ぐ
イマシメヲ トキアフゴトク アリタキヲ クラミタダヨヒ キノウキョウスグ

『形成』(形成発行所 1959.7) 第7巻7号(通巻75号) p.3


05527
傾ける土橋を日々に草蔽ふ人間のなすたくらみに似て
カタムケル ドバシヲヒビニ クサオオフ ニンゲンノナス タクラミニニテ

『形成』(形成発行所 1959.7) 第7巻7号(通巻75号) p.3