目次
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全短歌(歌集等)
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形成
秋深む日々
幾つもの
掌紋の
酔ひし風
口角の
如何ならむ
迂闊にて
05546
幾つもの印章を委ねられて持つ事などに支へられゐる日あり
イクツモノ インショウヲユダネ ラレテモツ コトナドニササヘ ラレヰルヒアリ
『形成』(形成発行所 1959.12) 第7巻12号(通巻80号) p.3
05547
掌紋の上昇線を指し呉れし卜者のこゑも須臾にして消ゆ
ショウモンノ ジョウショウセンヲ サシクレシ ボクシャノコヱモ シュユニシテキユ
『形成』(形成発行所 1959.12) 第7巻12号(通巻80号) p.3
05548
酔ひし風して別れしが夜の道は地盤ゆるめる感じにくぼむ
ヨヒシフリ シテワカレシガ ヨノミチハ ヂバンユルメル カンジニクボム
『形成』(形成発行所 1959.12) 第7巻12号(通巻80号) p.3
05549
口角のわななけるさま見尽くして徐に答へ得し身も寂し
コウカクノ ワナナケルサマ ミツクシテ オモムロニコタヘ エシミモサビシ
『形成』(形成発行所 1959.12) 第7巻12号(通巻80号) p.3
05550
如何ならむ反証も今は待ちゐぬに耳澄ます如き夜のをりふし
イカナラム ハンショウモイマハ マチヰヌニ ミミスマスゴトキ ヨルノヲリフシ
『形成』(形成発行所 1959.12) 第7巻12号(通巻80号) p.3
05551
迂闊にて把手に指紋をのこせしと悔いゐき何を犯せる夢ぞ
ウカツニテ ノブニシモンヲ ノコセシト クイヰキナニヲ オカセルユメゾ
『形成』(形成発行所 1959.12) 第7巻12号(通巻80号) p.3