目次
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全短歌(歌集等)
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形成
冬の傷あと
ユツカ蘭の
風邪癒えて
リヤカーを
鉄塔の
ビルの影と
まどかなる
05617
ユツカ蘭の葉に刺されし手夜に入りて遠き記憶と重り疼く
ユツカランノ ハニササレシテ ヨニイリテ トオキキオクト カサナリウズク
『形成』(形成発行所 1962.2) 第10巻2号(通巻106号) p.4
05618
風邪癒えて頭痛かすかに残る日々噂の中のわれのみはばたく
カゼイエテ ズツウカスカニ ノコルヒビ ウワサノナカノ ワレノミハバタク
『形成』(形成発行所 1962.2) 第10巻2号(通巻106号) p.4
05619
リヤカーを呼びとめたれば少年は地に筆算して柿売りゆけり
リヤカーヲ ヨビトメタレバ ショウネンハ チニヒッサンシテ カキウリユケリ
『形成』(形成発行所 1962.2) 第10巻2号(通巻106号) p.4
05620
鉄塔の根もとを蔽ふ草枯れて工区へ渡る橋現はれぬ
テットウノ ネモトヲオオフ クサカレテ コウクヘワタル ハシアラハレヌ
『形成』(形成発行所 1962.2) 第10巻2号(通巻106号) p.4
05621
ビルの影となりし広場を人よぎり救急箱の白きを運ぶ
ビルノカゲト ナリシヒロバヲ ヒトヨギリ キュウキュウバコノ シロキヲハコブ
『形成』(形成発行所 1962.2) 第10巻2号(通巻106号) p.4
05622
まどかなる埴輪の顔を棚に置きとげとげと過ごしゐる身を嗤ふ
マドカナル ハニワノカオヲ タナニオキ トゲトゲトスゴシ ヰルミヲワラフ
『形成』(形成発行所 1962.2) 第10巻2号(通巻106号) p.4