いつの日のついばみて保つべき女にてわが知らぬどのやうな消しておくみづからの背後よりさわがしくかなへられぬ眠り薬の青みさすうす雲に階段を踊り場の運といふ目の前がすさみゐし山の地図を告ぐるべき花びらの色の濃きゴムの輪を炊ぎなどにわが使ふ生命線の反復をはじけたるあけびの花の赤松の下り来て旅びともスカートを雨傘を白の花の思はむときに咲きそろふ箪笥一棹と何事か鳥も虫も混線しもろともに身を責めて日のくれを亡き人のわれの名を惜しみつつ右腕を灯を一つ
『短歌』(角川書店 1974.9) 第21巻9号 p.65
『短歌』(角川書店 1974.9) 第21巻9号 p.65
『短歌』(角川書店 1974.9) 第21巻9号 p.67
『短歌』(角川書店 1974.9) 第21巻9号 p.67
『短歌』(角川書店 1974.9) 第21巻9号 p.69
『短歌』(角川書店 1974.9) 第21巻9号 p.70