目次
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全短歌(歌集等)
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短歌
夜の銀座
出まかせの
ひさびさに
ガラスのビルを
過ぎて来て
つぎつぎに
08065
出まかせの理由を言ひて出でてゆく必要もなく鍵しめて出づ
デマカセノ リユウヲイヒテ イデテユク ヒツヨウモナク カギシメテイヅ
『短歌』(角川書店 1979.1) 第26巻1号 p.74
08066
ひさびさに歩む銀座の夕まぐれ影濃く犬の曳かれてゆけり
ヒサビサニ アユムギンザノ ユウマグレ カゲコクイヌノ ヒカレテユケリ
『短歌』(角川書店 1979.1) 第26巻1号 p.74
08067
ガラスのビルを仰ぎてをれば吸盤を持たざる不意の怖れはきざす
ガラスノビルヲ アオギテヲレバ キュウバンヲ モタザルフイノ オソレハキザス
『短歌』(角川書店 1979.1) 第26巻1号 p.74
08068
過ぎて来てわが身のそよぐ思ひしつ毛皮の匂ふコートの売り場
スギテキテ ワガミノソヨグ オモヒシツ ケガワノニオフ コートノ ウリバ
『短歌』(角川書店 1979.1) 第26巻1号 p.74
08069
つぎつぎに鳩を飛ばしゐたる手品師の左利きなりしことのみ思ふ
ツギツギニ ハトヲトバシヰタル テジナシノ ヒダリキキナリシ コトノミオモフ
『短歌』(角川書店 1979.1) 第26巻1号 p.74