手旗ならずや


08630
そのかみのジパングといへる国思ふ渚に残る黄なる夕映え
ソノカミノ ジパングトイヘル クニオモフ ナギサニノコル キナルユウバエ

『短歌現代』(短歌新聞社 1990.11) 第14巻11号 p.71


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古への武具の名持てるうつぼぐさ誰が侍女としてわれは果てけむ
イニシヘノ ブグノナモテル ウツボグサ タガジジョトシテ ワレハハテケム

『短歌現代』(短歌新聞社 1990.11) 第14巻11号 p.71


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両腕をまはすひとりの体操を遠く見をれば手旗ならずや
リョウウデヲ マハスヒトリノ タイソウヲ トオクミヲレバ テバタナラズヤ

『短歌現代』(短歌新聞社 1990.11) 第14巻11号 p.71


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二羽の蝶まつはり飛ぶを追ふとなく車に引きて花売りは来し
ニワノチョウ マツハリトブヲ オフトナク クルマニヒキテ ハナウリハコシ

『短歌現代』(短歌新聞社 1990.11) 第14巻11号 p.71


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送り火の灯籠はいつかちりぢりに漁り火の咲く沖へ去りたり
オクリビノ トウロウハイツカ チリヂリニ イサリビノサク オキヘサリタリ

『短歌現代』(短歌新聞社 1990.11) 第14巻11号 p.71


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待ちかねて寝てしまふこともなかりしと思ひ出でつつただ懐かしき
マチカネテ ネテシマフコトモ ナカリシト オモヒイデツツ タダナツカシキ

『短歌現代』(短歌新聞社 1990.11) 第14巻11号 p.71


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人の性また花の性四、五輪づつあひよりて咲くのうぜんかづら
ヒトノサガ マタハナノサガ シ、ゴリンヅツ アヒヨリテサク ノウゼンカヅラ

『短歌現代』(短歌新聞社 1990.11) 第14巻11号 p.71