明日読む本


08795
花の名を問へば答ふるやさしさに溺れつつ人と草市を行く
ハナノナヲ トヘバコタフル ヤサシサニ オボレツツヒトト クサイチヲユク

『短歌新聞』(短歌新聞社 1969.1) p.


08796
黒百合の香りいつまで嗅ぎてゐて思へることのうとましき日よ
クロユリノ カオリイツマデ カギテヰテ オモヘルコトノ ウトマシキヒヨ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1969.1) p.


08797
囚はれの時間のなかに疑問符のキイ叩くときほめくかすかに
トラハレノ ジカンノナカニ ギモンフノ キイタタクトキ ホメクカスカニ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1969.1) p.


08798
葉のもみぢまだらのままに散りてをり夢の部分の如きしづけさ
ハノモミヂ マダラノママニ チリテヲリ ユメノブブンノ ゴトキシヅケサ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1969.1) p.


08799
指先の痛み忘れて目ざめたし明日読む本を枕べに置く
ユビサキノ イタミワスレテ メザメタシ アスヨムホンヲ マクラベニオク

『短歌新聞』(短歌新聞社 1969.1) p.