同じ名


08815
かたはらに在るのみに足る日のありき孤りはさびし雪のふるさと
カタハラニ アルノミニタル ヒノアリキ ヒトリハサビシ ユキノフルサト

『短歌新聞』(短歌新聞社 1973.1) 231号 p.


08816
樅の木のしづれの者もしづまりてひしひしといま言葉満ち来る
モミノキノ シヅレノモノモ シヅマリテ ヒシヒシトイマ コトバミチクル

『短歌新聞』(短歌新聞社 1973.1) 231号 p.


08817
落合ひの水の激ちを見てゐしがつひに届かぬ心と思ふ
オチアヒノ ミズノタギチヲ ミテヰシガ ツヒニトドカヌ ココロトオモフ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1973.1) 231号 p.


08818
電話帳に同じ名のあることも知り会はぬ月日の過ぎてしづけし
デンワチョウニ オナジナノアル コトモシリ アハヌツキヒノ スギテシヅケシ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1973.1) 231号 p.


08819
雨の夜は雨の音にも奪はるる奪はれし一生と今は思はず
アメノヨハ アメノオトニモ ウバハルル ウバハレシヒトヨト イマハオモハズ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1973.1) 231号 p.