目次
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全短歌(歌集等)
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短歌新聞
夏の終り
紫の
切々と
はかどらぬ
洗ひおきし
硬貨一枚
08841
紫のいろ濃きままにしをれたるトルコ桔梗も捨つるほかなき
ムラサキノ イロコキママニ シヲレタル トルコキキョウモ スツルホカナキ
『短歌新聞』(短歌新聞社 1975.1) p.
08842
切々と告ぐるにたれもをらざりき夢さへわれのうつつを越えず
セツセツト ツグルニタレモ ヲラザリキ ユメサヘワレノ ウツツヲコエズ
『短歌新聞』(短歌新聞社 1975.1) p.
08843
はかどらぬ縫ひもののあり物欲しき夏の終わりのくらしのなかに
ハカドラヌ ヌイモノノアリ モノホシキ ナツノオワリノ クラシノナカニ
『短歌新聞』(短歌新聞社 1975.1) p.
08844
洗ひおきし葡萄は露を溜めてをり死にても誰も褒めてはくれず
アラヒオキシ ブドウノツユヲ タメテヲリ シニテモタレモ ホメテハクレズ
『短歌新聞』(短歌新聞社 1975.1) p.
08845
硬貨一枚握れるほどのこだはりと思ひなしつつ駅までの闇
コウカイチマイ ニギレルホドノ コダハリト オモヒナシツツ エキマデノヤミ
『短歌新聞』(短歌新聞社 1975.1) p.