反故


08861
今のまに反故の類ひも焼きおかむ身を絞り人を恋ひし日ありき
イマノマニ ホゴノタグヒモ ヤキオカム ミヲシボリヒトヲ コヒシヒアリキ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1977.1.10) 279号 p.7


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やみがたく上半身の映る位置鏡のわれも面痩せて立つ
ヤミガタク ジョウハンシンノ ウツルイチ カガミノワレモ オモヤセテタツ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1977.1.10) 279号 p.7


08863
眠られぬ夜を明かすとも女にて眉をゑがくといふやさしさよ
ネムラレヌ ヨヲアカストモ オンナニテ マユヲヱガクト イフヤサシサヨ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1977.1.10) 279号 p.7


08864
たかぶりて一頭ゐたるかの馬も夜霧の底に眠れるころか
タカブリテ イットウヰタル カノウマモ ヨギリノソコニ ネムレルコロカ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1977.1.10) 279号 p.7


08865
自転車に行く人の影犬の影犬の啼き声はみんな似てゐる
ジテンシャニ ユクヒトノカゲ イヌノカゲ イヌノナキゴエハ ミンナニテヰル

『短歌新聞』(短歌新聞社 1977.1.10) 279号 p.7