のちの思ひに


08958
さわだてるひと日なりしか夕ぐれに束の間ほどを逢はむ人ゐて
サワダテル ヒトヒナリシカ ユウグレニ ツカノマホドヲ アハムヒトヰテ

『短歌公論』(短歌公論社 1974.1.1) 66号 p.2


08959
乾きたる落ち葉のごとき身にあらずもろ手汗ばむマントのなかに
カワキタル オチバノゴトキ ミニアラズ モロテアセバム マントノナカニ

『短歌公論』(短歌公論社 1974.1.1) 66号 p.2


08960
しんとして風さへ立たぬ夜といふに言葉かよはぬこころ通はぬ
シントシテ カゼサヘタタヌ ヨトイフニ コトバカヨハヌ ココロカヨハヌ

『短歌公論』(短歌公論社 1974.1.1) 66号 p.2


08961
ストールも編み終らむに半ばより諦めながらなすこと多き
ストールモ アミオワラムニ ナカバヨリ アキラメナガラ ナスコトオオキ

『短歌公論』(短歌公論社 1974.1.1) 66号 p.2


08962
罪障のごときほくろを襟に持つ幕の降たるのちの思ひに
ザイショウノ ゴトキホクロヲ エリニモツ マクノオリタル ノチノオモヒニ

『短歌公論』(短歌公論社 1974.1.1) 66号 p.2