ひと世かけて


08979
チーズ切りしナイフの曇りをそのままに迷ひ出づればとめどもあらぬ
チーズキリシ ナイフノクモリヲ ソノママニ マヨヒイヅレバ トメドモアラヌ

『短歌公論』(短歌公論社 1984.1.1) p.


08980
ひと世かけて知られずにすむことあらむ逝きにし人はものを言はざる
ヒトヨカケテ シラレズニスム コトアラム ユキニシヒトハ モノヲイハザル

『短歌公論』(短歌公論社 1984.1.1) p.


08981
夢にさへ来ぬはなにゆゑ夕べよりよひにいちづにありし思ひよ
ユメニサヘ コヌハナニユヱ ユウベヨリ ヨヒニイチヅニ アリシオモヒヨ

『短歌公論』(短歌公論社 1984.1.1) p.