ものの名


09006
忍冬か定家かづらか宵闇の顔の高さに花の香は来る
ニンドウカ テイカカヅラカ ヨイヤミノ カオノタカサニ ハナノカハクル

『短歌四季』(東京四季出版 1993.9) p.5


09007
雪花菜と書き卯の花と呼び物の名の優しき日なり厨にありて
キラズトカキ ウノハナトヨビ モノノナノ ヤサシキヒナリ クリヤニアリテ

『短歌四季』(東京四季出版 1993.9) p.5


09008
ほどほどの長さに切れて藤の花十坪ばかりの棚を満たせり
ホドホドノ ナガサニキレテ フジノハナ トツボバカリノ タナヲミタセリ

『短歌四季』(東京四季出版 1993.9) p.5


09009
夕食を軽くすまして別れむかただの人と知りて長くつきあふ
ユウショクヲ カルクスマシテ ワカレムカ タダノヒトトシリテ ナガクツキアフ

『短歌四季』(東京四季出版 1993.9) p.5


09010
葬送の花は台よりはづされてワゴン車深く押し込まれたり
ソウソウノ ハナハダイヨリ ハヅサレテ ワゴンシャフカク オシコマレタリ

『短歌四季』(東京四季出版 1993.9) p.5


09011
朝々に活け直しをれば菜の花とわれといつしかいのちを競ふ
アサアサニ イケナオシヲレバ ナノハナト ワレトイツシカ イノチヲキソフ

『短歌四季』(東京四季出版 1993.9) p.5