無題


09021
どのやうに身を刻むとも恋ふるともあめつちにただひとしづくなる
ドノヤウニ ミヲキザムトモ コフルトモ アメツチニタダ ヒトシヅクナル

『短歌ミューズ』(ミューズ社 1983) 26号 p.


09022
みそなはすすべなきものを喪の花の蘭は白磁のさまにしづもる
ミソナハス スベナキモノヲ モノハナノ ランハハクジノ サマニシヅモル

『短歌ミューズ』(ミューズ社 1984) 30号 p.


09023
行き違ひになりにしのみと知るまでにまた重ねたる歳月ありき
ユキチガヒニ ナリニシノミト シルマデニ マタカサネタル サイゲツアリキ

『短歌ミューズ』(ミューズ社 1985.1.7) 34号 p.


09024
わかち持つ遠き憶ひ出あるに似てひそかにゐたり埴輪少女と
ワカチモツ トオキオモヒデ アルニニテ ヒソカニヰタリ ハニワショウジョト

『短歌ミューズ』(ミューズ社 1986.1.3) 38号 p.


09025
銀鱗のひらめくときを待ち待ちて自らを人は釣るにかあらむ
ギンリンノ ヒラメクトキヲ マチマチテ ミズカラヲヒトハ ツルニカアラム

『短歌ミューズ』(ミューズ社 1993.1) p.