波止場から


09026
バス降りて十字路をよぎり来る君よ夕陽の中のわれに手あげて
バスオリテ ジュウジロヲヨギリ クルキミヨ ユウヒノナカノ ワレニテアゲテ

『短歌現代』(短歌新聞社 1994.2) p.


09027
神々も渇く夜あらむわがひとり夜更くればまた眠る外なく
カミガミモ カワクヨアラム ワガヒトリ ヨフクレバマタ ネムルホカナク

『短歌現代』(短歌新聞社 1994.2) p.


09028
かたはらにおく幻の椅子一つあくがれて待つ夜もなし今は
カタハラニ オクマボロシノ イスヒトツ アクガレテマツ ヨモナシイマハ

『短歌現代』(短歌新聞社 1994.2) p.


09029
いつまでも明けおく窓に雨匂ふもしや帰るかと思ふも寂し
イツマデモ アケオクマドニ アメニオフ モシヤカエルカト オモフモサビシ

『短歌現代』(短歌新聞社 1994.2) p.


09030
そらんじてゐし花言葉つぎつぎに置き忘れ来し月日と思ふ
ソランジテ ヰシハナコトバ ツギツギニ オキワスレキシ ツキヒトオモフ

『短歌現代』(短歌新聞社 1994.2) p.