目次
/
全短歌(歌集等)
/
文芸埼玉
木槿は白から
童話のやうな
痛きまで
黒板に
はなやかに
ガラス窓の
09119
童話のやうなやさしき会話して醒めてあたたかかりし子山羊もをらず
ドウワノヤウナ ヤサシキカイワ シテサメテ アタタカカリシ コヤギモヲラズ
『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1974.11) 12号 p.79
09120
痛きまで胸締めて出づる朝々に木槿は白からほころびそめつ
イタキマデ ムネシメテイヅル アサアサニ ムクゲハシロカラ ホコロビソメツ
『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1974.11) 12号 p.79
09121
黒板に字を書く背後ひそまりて石の顔など並ぶならずや
コクバンニ ジヲカクハイゴ ヒソマリテ イシノカオナド ナラブナラズヤ
『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1974.11) 12号 p.79
09122
はなやかに角をひらける鹿の絵にゑがきし人のかなしみは見ゆ
ハナヤカニ ツノヲヒラケル シカノエニ ヱガキシヒトノ カナシミハミユ
『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1974.11) 12号 p.79
09123
ガラス窓の模様を白く光らせて夏も終りと思ふ雨降る
ガラスマドノ モヨウヲシロク ヒカラセテ ナツモオワリト オモフアメフル
『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1974.11) 12号 p.79