白梅のころ


09184
七曜にいつしかうとくデパートの休みの町のしづけさを行く
シチヨウニ イツシカウトク デパートノ ヤスミノマチノ シヅケサヲユク

『毎日新聞』(毎日新聞社 1984.3.3) p.


09185
神職の家にかあらむ珍しき姓の表札見て過ぎにけり
シンショクノ イエニカアラム メズラシキ セイノヒョウサツ ミテスギニケリ

『毎日新聞』(毎日新聞社 1984.3.3) p.


09186
音程を次第に上げて畦にゐる群れの鴉の一羽のみ啼く
オンテイヲ シダイニアゲテ アゼニヰル ムレノカラスノ イチワノミナク

『毎日新聞』(毎日新聞社 1984.3.3) p.


09187
白梅の咲きゐるのみに閂をさしてしづもる山の社は
シラウメノ サキヰルノミニ クワンヌキヲ サシテシヅモル ヤマノヤシロハ

『毎日新聞』(毎日新聞社 1984.3.3) p.


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襟もとの寒き思ひに見返ればみの虫は風に周りてゐたり
エリモトノ サムキオモヒニ ミカエレバ ミノムシハカゼニ マワリテヰタリ

『毎日新聞』(毎日新聞社 1984.3.3) p.