秩父新春


09214
片耳にとらへし巡礼の鈴の音はたちまち両耳に入りて近づく
カタミミニ トラヘシジュンレイノ スズノネハ タチマチリョウミミニ イリテチカヅク

『埼玉新聞』(埼玉新聞社 1985.1.1) p.


09215
水鳥のをりをり光る沼の上春めくと思ふ午後の日ざしは
ミズドリノ ヲリヲリヒカル ヌマノウエ ハルメクトオモフ ゴゴノヒザシハ

『埼玉新聞』(埼玉新聞社 1985.1.1) p.


09216
をしどりのつがひがゆけり水面に緑の羽根を輝かせつつ
ヲシドリノ ツガヒガユケリ スイメンニ ミドリノハネヲ カガヤカセツツ

『埼玉新聞』(埼玉新聞社 1985.1.1) p.


09217
はすかひに及ぶ日ざしに対岸の赤松の幹はあたたかく見ゆ
ハスカヒニ オヨブヒザシニ タイガンノ アカマツノミキハ アタタカクミユ

『埼玉新聞』(埼玉新聞社 1985.1.1) p.


09218
年々に願ひのあはくなりゆくと巡礼の鈴を追ひつつ思ふ
ネンネンニ ネガヒノアハク ナリユクト ジュンレイノスズヲ オヒツツオモフ

『埼玉新聞』(埼玉新聞社 1985.1.1) p.