近在の鳩


09249
闇深き木の間に透きてきざはしに炎をはじく除夜の篝火
ヤミフカキ コノマニスキテ キザハシニ ホノオヲハジク ジョヤノカガリビ

『埼玉新聞』(埼玉新聞社 1992.1.1) p.


09250
朝々に格言を読みて如何にせむ雪の舞ふ絵の暦を吊りぬ
アサアサニ カクゲンヲヨミテ イカニセム ユキノマフエノ コヨミヲツリヌ

『埼玉新聞』(埼玉新聞社 1992.1.1) p.


09251
ふるさとは雪の山なみ放射能もオゾン層も未だ知らざりしころ
フルサトハ ユキノヤマナミ ホウシャノウモ オゾンソウモイマダ シラザリシコロ

『埼玉新聞』(埼玉新聞社 1992.1.1) p.


09252
迷ひつつ生きし荒れ野のいづこにも一縷の水はありし思ひす
マヨヒツツ イキシアレノノ イヅコニモ イチルノミズハ アリシオモヒス

『埼玉新聞』(埼玉新聞社 1992.1.1) p.


09253
近在の鳩が残らず集まりて遊べる如し橋のたもとは
キンザイノ ハトガノコラズ アツマリテ アソベルゴトシ ハシノタモトハ

『埼玉新聞』(埼玉新聞社 1992.1.1) p.