目次
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全短歌(歌集等)
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文藝春秋 特別号
風にまぎれて
言葉ある
立つ煙
前をゆく
とどこほる
デッサンの
まろまろと
どのやうに
遠ざかり
09266
言葉あるものの如くにゐし二羽も飛び立ちゆけり枝はずませて
コトバアル モノノゴトクニ ヰシニワモ トビタチユケリ エダハズマセテ
『文藝春秋 特別号』(文藝春秋 1981.5) p.
09267
立つ煙たなびく煙いつの世の僧の植ゑにし竹か落ち葉す
タツケムリ タナビクケムリ イツノヨノ ソウノウヱニシ タケカオチバス
『文藝春秋 特別号』(文藝春秋 1981.5) p.
09268
前をゆく一人の帯に浮き出でし金糸の花もいつしかあらず
マエヲユク ヒトリノオビニ ウキイデシ キンシノハナモ イツシカアラズ
『文藝春秋 特別号』(文藝春秋 1981.5) p.
09269
とどこほる思ひにをれば薄青き皮膜のごとし夕べの空は
トドコホル オモヒニヲレバ ウスアオキ ヒマクノゴトシ ユウベノソラハ
『文藝春秋 特別号』(文藝春秋 1981.5) p.
09270
デッサンのやうにそばだちゐしビルの光の塔となりて暮れゆく
デッサンノ ヤウニソバダチ ヰシビルノ ヒカリノトウト ナリテクレユク
『文藝春秋 特別号』(文藝春秋 1981.5) p.
09271
まろまろと昇る月見てもどり来ぬ狂ふことなく生くるも悲劇
マロマロト ノボルツキミテ モドリキヌ クルフコトナク イクルモヒゲキ
『文藝春秋 特別号』(文藝春秋 1981.5) p.
09272
どのやうに身を刻むとも恋ふるとも天地にただひとしづくなる
ドノヤウニ ミヲキザムトモ コフルトモ アメツチニタダ ヒトシヅクナル
『文藝春秋 特別号』(文藝春秋 1981.5) p.
09273
遠ざかりつつ一縷なる思ひゆゑ風にまぎれてかよはむわれは
トオザカリ ツツイチルナル オモヒユヱ カゼニマギレテ カヨハムワレハ
『文藝春秋 特別号』(文藝春秋 1981.5) p.