目次
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全短歌(歌集等)
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小説新潮 別冊 秋季
呼びさます
四肢高き
雨乞ひの
遠くにて
ガラス戸の
音もなく
09287
四肢高き馬のほとりにゐし夢の馬の数のみ殖えてゆきたり
シシタカキ ウマノホトリニ ヰシユメノ ウマノカズノミ フエテユキタリ
『小説新潮 別冊 秋季』(新潮社 1978) p.131
09288
雨乞ひの太鼓の音の響きゐし故郷はあらずどの地図見ても
アマゴヒノ タイコノオトノ ヒビキヰシ コキョウハアラズ ドノチズミテモ
『小説新潮 別冊 秋季』(新潮社 1978) p.131
09289
遠くにてサイレン鳴れり忘れゐし欲望を呼び醒ますごとくに
トオクニテ サイレンナレリ ワスレヰシ ヨクボウヲヨビ サマスゴトクニ
『小説新潮 別冊 秋季』(新潮社 1978) p.131
09290
ガラス戸の桟に足首切られたるわが映像を見て立ちつくす
ガラスドノ サンニアシクビ キラレタル ワガエイゾウヲ ミテタチツクス
『小説新潮 別冊 秋季』(新潮社 1978) p.131
09291
音もなくクレーンの鉤の垂りて来て路上の誰を奪はむとする
オトモナク クレーンノカギノ タリテキテ ロジョウノタレヲ ウバハムトスル
『小説新潮 別冊 秋季』(新潮社 1978) p.131