目次
/
全短歌(歌集等)
/
暗
糸として
背を割りて
夜を渡る
糸として
まんさくの
うつつなき
09765
背を割りて脱け出づるにもあらねども息詰まる如し木々騒ぐ夜は
セヲワリテ ヌケイヅルニモ アラネドモ イキツマルゴトシ キギサワグヨハ
『暗』(北九州通信 1983) 10号 p.1
09766
夜を渡る雷のはげしさ銅像の馬は濡れつつ輝きてゐむ
ヨヲワタル ライノハゲシサ ドウゾウノ ウマハヌレツツ カガヤキテヰム
『暗』(北九州通信 1983) 10号 p.1
09767
糸としてかへりみるときよぢれつつ色を乱しし若かりし日よ
イトトシテ カヘリミルトキ ヨヂレツツ イロヲミダシシ ワカカリシヒヨ
『暗』(北九州通信 1983) 10号 p.1
09768
まんさくの花咲きゐたり夢なれば恨みがましきことも言ひつる
マンサクノ ハナサキヰタリ ユメナレバ ウラミガマシキ コトモイヒツル
『暗』(北九州通信 1983) 10号 p.1
09769
うつつなき思ひにゐしが深爪の疼く小指に引き戻されぬ
ウツツナキ オモヒニヰシガ フカヅメノ ウズクコユビニ ヒキモドサレヌ
『暗』(北九州通信 1983) 10号 p.1