地底の音


09825
麦畑わづかに熟れてこの町に雲水などは見かけずなりぬ
ムギバタケ ワヅカニウレテ コノマチニ ウンスイナドハ ミカケズナリヌ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1987.11) 15号 p.10


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行きどまりの垣にからみて鉄線の大き紫かかよりゐたり
ユキドマリノ カキニカラミテ テッセンノ オオキムラサキ カカヨリヰタリ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1987.11) 15号 p.10


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バス停の標識白くともるころラマ僧二人いづこへ帰る
バステイノ ヒョウシキシロク トモルコロ ラマソウフタリ イヅコヘカエル

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1987.11) 15号 p.10


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むじな偏の貌といふ字を書きをれば人間といふ不可解のもの
ムジナヘンノ カオトイフジヲ カキヲレバ ニンゲントイフ フカカイノモノ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1987.11) 15号 p.10


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ひしひしと人の増えくる夢なりき石筍などの立つさまに似て
ヒシヒシト ヒトノフエクル ユメナリキ セキジュンナドノ タツサマニニテ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1987.11) 15号 p.10


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わがめぐり目に見えて荒れてゆく日あり供華の黄菊は葉から衰ふ
ワガメグリ メニミエテアレテ ユクヒアリ クゲノキギクハ ハカラオトロフ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1987.11) 15号 p.10


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ゆく末をまた見失ふごとき日に軒を鳴らして狐雨降る
ユクスエヲ マタミウシナフ ゴトキヒニ ノキヲナラシテ キツネアメフル

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1987.11) 15号 p.10


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手すさびに拾ひたれども石は石の重さに土の匂ひをまとふ
テスサビニ ヒロヒタレドモ イシハイシノ オモサニツチノ ニオヒヲマトフ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1987.11) 15号 p.10


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われの目もけものの如く光らむか自転車のライトまともに浴びて
ワレノメモ ケモノノゴトク ヒカラムカ ジテンシャノライト マトモニアビテ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1987.11) 15号 p.10


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温水器の音と気づけどなほしばし地底の音のごとく続けリ
オンスイキノ オトトキヅケド ナホシバシ チテイノオトノ ゴトクツヅケリ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1987.11) 15号 p.10