目次
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全短歌(歌集等)
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東京しらうめ
きつねあめ
感情を
白も黄も
亡きあとに
遠くより
脈搏が
届きたる
ゆく末を
09975
感情をぶつけるごとく若者は水打ちつけてバスを洗へり
カンジョウヲ ブツケルゴトク ワカモノハ ミズウチツケテ バスヲアラヘリ
『東京しらうめ』(白梅同窓会東京支部 1987.5) 6号 p.10
09976
白も黄もつぼみもたげて四季咲きの薔薇といへども春のいきほひ
シロモキモ ツボミモタゲテ シキザキノ バラトイヘドモ ハルノイキホヒ
『東京しらうめ』(白梅同窓会東京支部 1987.5) 6号 p.10
09977
亡きあとに得し身軽さも夕ぐれは今に寂しと人の言ふなり
ナキアトニ エシミガルサモ ユウグレハ イマニサビシト ヒトノイフナリ
『東京しらうめ』(白梅同窓会東京支部 1987.5) 6号 p.10
09978
遠くより会釈したるは誰なりし喪服に角を曲りてゆけり
トオクヨリ エシャクシタルハ タレナリシ モフクニカドヲ マガリテユケリ
『東京しらうめ』(白梅同窓会東京支部 1987.5) 6号 p.10
09979
脈搏が指の先まで打つ日にてたんぽぽの綿の飛ぶを見てゐる
ミャクハクガ ユビノサキマデ ウツヒニテ タンポポノワタノ トブヲミテヰル
『東京しらうめ』(白梅同窓会東京支部 1987.5) 6号 p.10
09980
届きたる名簿をしばし繰りをれば次第に運命論者のごとし
トドキタル メイボヲシバシ クリヲレバ シダイニウンメイ ロンシャノゴトシ
『東京しらうめ』(白梅同窓会東京支部 1987.5) 6号 p.10
09981
ゆく末をまた見失ふごとき日に軒を鳴らして狐雨降る
ユクスエヲ マタミウシナフ ゴトキヒニ ノキヲナラシテ キツネアメフル
『東京しらうめ』(白梅同窓会東京支部 1987.5) 6号 p.10