無題


10001
うとまれて虚無に翳れる白き手も夕べはあはれ紅をはくかも
ウトマレテ キョムニカゲレル シロキテモ ユウベハアハレ ベニヲハクカモ

『やまと』(大雅堂 1944.8) 第1巻2号 p.14


10002
はまなすの花も吹かるゝ潮風にゆれやすかるはこゝろなりけり
ハマナスノ ハナモフカルル シオカゼニ ユレヤスカルハ ココロナリケリ

『やまと』(大雅堂 1944.11) 第1巻5号 p.9


10003
ひなげしの花のほぐれて落つるさま見つゝ思ひに堪へてわがをり
ヒナゲシノ ハナノホグレテ オツルサマ ミツツオモヒニ タヘテワガヲリ

『やまと』(大雅堂 1944.11) 第1巻5号 p.9


10004
落莫のわがゐまはりや花ざくろ濃きくれなゐもなぐさまなくに
ラクバクノ ワガヰマハリヤ ハナザクロ コキクレナヰモ ナグサマナクニ

『やまと』(大雅堂 1944.11) 第1巻5号 p.9


10005
そこはかとこゝろのまはりかたづけて靜かなる日や合歡の花散る
ソコハカト ココロノマハリ カタヅケテ シズカナルヒヤ ネムノハナチル

『やまと』(大雅堂 1944.11) 第1巻5号 p.9