目次
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全短歌(歌集等)
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歌と随筆
ふるさと
背負ひゆく
歸りきて
母と浴ぶる
白髪を
ふみよむと
時雨すぎて
いちづなる
殘し來し
10019
背負ひゆく土産の重みの身にしみて歸るよろこびうづくが如し
セオヒユク ツトノオモミノ ミニシミテ カエルヨロコビ ウヅクガゴトシ
『歌と随筆』(蒼明社 1942.2) 第1巻2号 p.12
10020
歸りきて母と對へばいく月を堪へ來しこともはかなかりけり
カエリキテ ハハトムカヘバ イクツキヲ タヘコシコトモ ハカナカリケリ
『歌と随筆』(蒼明社 1946.2) 第1巻2号 p.12
10021
母と浴ぶる山家の縁の小春日にゆめの如しもかへり咲くはな
ハハトアブル ヤマヤノエンノ コハルビニ ユメノゴトシモ カヘリサクハナ
『歌と随筆』(蒼明社 1946.2) 第1巻2号 p.13
10022
白髪を梳きまゐらせばはゝそはは鏡の中に目をとぢたまふ
シラカミヲ スキマヰラセバ ハハソハハ カガミノナカニ メヲトヂタマフ
『歌と随筆』(蒼明社 1946.2) 第1巻2号 p.13
10023
ふみよむとひとり起きゐるわがそばに母の眠りのひそかなるかも
フミヨムト ヒトリオキヰル ワガソバニ ハハノネムリノ ヒソカナルカモ
『歌と随筆』(蒼明社 1946.2) 第1巻2号 p.13
10024
時雨すぎてぬれたる花の色冴ゆる菊のま垣を母は指します
シグレスギテ ヌレタルハナノ イロサユル キクノマガキヲ ハハハサシマス
『歌と随筆』(蒼明社 1946.2) 第1巻2号 p.13
10025
いちづなるねがひひそかに湧くごとしいのち一つを船にゆられて
イチヅナル ネガヒヒソカニ ワクゴトシ イノチヒトツヲ フネニユラレテ
『歌と随筆』(蒼明社 1946.2) 第1巻2号 p.13
10026
殘し來しはゝそはは時をかぞへつゝ吾娘のろ船をわびておはさめ
ノコシコシ ハハソハハトキヲ カゾヘツツ アコノロフネヲ ワビテオハサメ
『歌と随筆』(蒼明社 1946.2) 第1巻2号 p.13