松かさ


10027
この年の稼ぎ初めとて松かさを拾ひに山へ母と來にけり
コノトシノ カセギハジメトテ マツカサヲ ヒロヒニヤマヘ ハハトキニケリ

『歌と随筆』(蒼明社 1946.3) 第1巻3号 p.15


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松かさをひろふとて來し寺山や石の佛のひとみさぶしき
マツカサヲ ヒロフトテコシ テラヤマヤ イシノホトケノ ヒトミサブシキ

『歌と随筆』(蒼明社 1946.3) 第1巻3号 p.15


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焚きものゝとぼしさはゆめ言はざらむ山の松かさ籠にあふるゝ
タキモノノ トボシサハユメ イハザラム ヤマノマツカサ カゴニアフルル

『歌と随筆』(蒼明社 1946.3) 第1巻3号 p.15


10030
疼く夜の淺きねむりのわが夢をばゆり起すがに地震ふるふなり
ウヅクヨノ アサキネムリノ ワガユメヲバ ユリオコスガニ ナヰフルフナリ

『歌と随筆』(蒼明社 1946.3) 第1巻3号 p.15


10031
死の豫感身にきびしくも思ほゆるいくたびか夜の夢破られつ
シノヨカン ミニキビシクモ オモホユル イクタビカヨノ ユメヤブラレツ

『歌と随筆』(蒼明社 1946.3) 第1巻3号 p.15