目次
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全短歌(歌集等)
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歌と随筆
朝ごころ夕ごころ
燃えたたぬ
歸りみちの
日の疲れ
朝燒けの
をちこちに
我執遂げて
決然と
我執持ちて
10078
燃えたたぬ日ごろの心ほぐれんか夕陽の街に夫と出でたり
モエタタヌ ヒゴロノココロ ホグレンカ ユウヒノマチニ ツマトイデタリ
『歌と随筆』(蒼明社 1948.7) 第3巻4号 p.9
10079
歸りみちの束のまを燃えし夕燒けは君の横顏を美しくしき
カエリミチノ ツカノマヲモエシ ユウヤケハ キミノヨコガオヲ ウツクシクシキ
『歌と随筆』(蒼明社 1948.7) 第3巻4号 p.9
10080
日の疲れしるき宵居は灯を寄せて夫とすすらむ暖かき茶を
ヒノツカレ シルキヨヒヰハ ヒヲヨセテ ツマトススラム アタタカキチャヲ
『歌と随筆』(蒼明社 1948.7) 第3巻4号 p.9
10081
朝燒けの空に匂える合歡の花や癒えがたき夫の病ひなるかも
アサヤケノ ソラニニオエル ネムノハナヤ イエガタキツマノ ヤマヒナルカモ
『歌と随筆』(蒼明社 1948.7) 第3巻4号 p.9
10082
をちこちに夕かしぎするさゞめきの黄昏はたのし夫も癒えつつ
ヲチコチニ ユウカシギスル サザメキノ タソガレハタノシ ツマモイエツツ
『歌と随筆』(蒼明社 1948.7) 第3巻4号 p.9
10083
我執遂げて人はばからぬ不逞さを持たねばならぬ生くべく吾も
ガシュウトゲテ ヒトハバカラヌ フテイサヲ モタネバナラヌ イクベクワレモ
『歌と随筆』(蒼明社 1948.7) 第3巻4号 p.9
10084
決然と人の思惑は顧みずもの言えるさがを持つべし吾も
ケツゼント ヒトノオモワクハ カエリミズ モノイエルサガヲ モツベシワレモ
『歌と随筆』(蒼明社 1948.7) 第3巻4号 p.9
10085
我執持ちて生存をきそふ現し世を正視し得るまでをとなさびぬる
ガシュウモチテ セイゾンヲキソフ ウツシヨヲ セイシシエルマデ ヲトナサビヌル
『歌と随筆』(蒼明社 1948.7) 第3巻4号 p.9