目次
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全短歌(歌集等)
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埼玉婦人
奈良回想
たそがれの
外人に
水底の
鹿の鳴く
雪深く
佛像は
10154
たそがれの湖を愛すと彼は告げき秘かに戀はれゐしにあらずや
タソガレノ ウミヲアイスト カレハツゲキ ヒソカニコハレ ヰシニアラズヤ
『埼玉婦人』( 1950.12) p.22
10155
外人にピアノ習ふこともはゞかられショパンの樂譜秘めて通ひき
ガイジンニ ピアノナラフコトモ ハバカラレ ショパンノガクフ ヒメテカヨヒキ
『埼玉婦人』( 1950.12) p.22
10156
水底の藻屑とふ語にも憧れき死は美しと思ひゐし日々
ミナソコノ モクズトフゴニモ アコガレキ シハウツクシト オモヒヰシヒビ
『埼玉婦人』( 1950.12) p.22
10157
鹿の鳴く秋は寂しく遺書めける手記をしきりに書きてゐたりき
シカノナク アキハサビシク イショメケル シュキヲシキリニ カキテヰタリキ
『埼玉婦人』( 1950.12) p.22
10158
雪深く積もる夜なりきゆくりなく君服毒の知らせ受けしは
ユキフカク ツモルヨナリキ ユクリナク キミフクドクノ シラセウケシハ
『埼玉婦人』( 1950.12) p.22
10159
佛像は信仰よりも美の対象と言ひし若き画家をわれは憎みき
ブツゾウハ シンコウヨリモ ビノタイショウト イヒシ ワカキガカヲ ワレハニクミキ
『埼玉婦人』( 1950.12) p.22