目次
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全短歌(歌集等)
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朱扇
深山路
聲の限り
もつと廣く
紛れては
長き未來
われの知らぬ
餘裕得なば
久し振に
幾種かの
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聲の限り呼びたきみ名もある如し谷越えて近き山のなだりよ
コエノカギリ ヨビタキミナモ アルゴトシ タニコエテチカキ ヤマノナダリヨ
『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3
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もつと廣く視野を開きて生き行かむ遠く相模の海光るなり
モツトヒロク シヤヲヒラキテ イキユカム トオクサガミノ ウミヒカルナリ
『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3
10341
紛れては歌も口吟む日々なれと何時か區切はつけねばならず
マギレテハ ウタモクチズサム ヒビナレト イツカクギリハ ツケネバナラズ
『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3
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長き未來思ひて決むる身の振りを打算と言はれなば涙溢れむ
ナガキミライ オモヒテキムル ミノフリヲ ダサントイハレナバ ナミダアフレム
『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3
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われの知らぬ喜びもあらむか山奥に炭燒きて獨り住める翁よ
ワレノシラヌ ヨロコビモアラムカ ヤマオクニ スミヤキテヒトリ スメルオキナヨ
『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3
10344
餘裕得なば鍵しめて一人蘢るべき室を持たむと思ふ何時より
ユトリエナバ カギシメテヒトリ コモルベキ ヘヤヲモタムト オモフイツヨリ
『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3
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久し振に逢ひし教へ子わが厭ふタイプの青年となりゆく如し
ヒサシブリニ アヒシオシヘゴ ワガイトフ タイプノセイネント ナリユクゴトシ
『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3
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幾種かの罐詰をひそかに買ひておく我に許さるる富も小さく
イクシュカノ カンヅメヲヒソカニ カヒテオク ワレニユルサルル トミモチイサク
『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3