目次
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全短歌(歌集等)
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朱扇
事務服
少し威張つて
上ずりて
表情も
模範靑年と
姉の如く
徒食する
せめて優き
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少し威張つて見たいのならむと思直し書類整理を又始めたり
スコシイバツテ ミタイノナラムト オモイナオシ ショルイセイリヲ マタハジメタリ
『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2
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上ずりて又電話かくる女の聲すひねもす何にいらだつ我ぞ
ウハズリテ マタデンワカクル オンナノコエス ヒネモスナニニ イラダツワレゾ
『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2
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表情もとがりゐむ我かいとまなき應待を一日續けし夕べ
ヒョウジョウモ トガリヰムワレカ イトマナキ オウタイヲイチニチ ツヅケシユウベ
『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2
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模範靑年と言はれて苦學する汝の秘むる思想も我は知り居り
モハンセイネント イハレテクガク スルナレノ ヒムルシソウモ ワレハシリオリ
『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2
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姉の如く告白を聞きてやりながら少し惹かれてゐると思へり
アネノゴトク コクハクヲキキテ ヤリナガラ スコシヒカレテ ヰルトオモヘリ
『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2
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徒食する階級を憎むと言ひし汝よ傘さしかけて歸してやりぬ
トショクスル カイキュウヲニクムト イヒシナヨ カササシカケテ カエシテヤリヌ
『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2
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せめて優き少女見つけて添はせたし雨に濡れて歸る汝が後姿よ
セメテヤサシキ ショウジョミツケテ ソハセタシ アメニヌレテカエル ナガウシロデヨ
『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2